【現役看護師にもオススメ】聴診で正常呼吸音が聴こえない?考える疾患はコレ!ー第3回たまきち道場 

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皆さんこんにちは!たまきちです。
前回は肺音の聴診時に最初に考えるべき、「呼吸音」についてお伝えしました。聴診のコツをつかみたい方やアセスメント力を伸ばしたいと思っている方は、ぜひ前回分も下のリンクから覗いてみてください!

今回の胸郭上の決められた位置で聴診していても「正常呼吸音が聴取できない」時、その肺に何が起きているのか?どんな疾患が生じているのか?これを考えるためのポイントに、呼吸音の強さと音調があります!

この記事を読み終わるころには、呼吸音の強さと音調に異常があるときのアセスメント方法として、この2つで代表的な疾患を予測することができるようになっているはずです^^

呼吸音の強さと音調で、疾患を予測する。

呼吸音の強さー「呼吸音の減弱」

Photo by saeed karimi on Unsplash

はじめに呼吸音の強弱で考えてもらいたいことは、「呼吸音が弱くなっているところがないか?」つまり呼吸音の減弱ですね。それに加え音の左右差を意識するといいのです^^
音の強弱を聴診したい時に聴診すべき部位は左右の「上前胸部」、「腋窩中線」、「背部肺底部」の6か所です。さらにそれぞれを0~4の5段階で点数(呼吸音スコア)で考えるとさらに客観性が高まりますね^^b

呼吸音が減弱している場合に考えるべきよくある疾患には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、胸水、肺炎、喘息、気胸などがあります。これは聴診した部位の下に水(胸水)が貯まっていたり、炎症(肺炎)で分泌物が貯まっていたり、そもそも肺に空気が流入できない状態(喘息や気胸)になっているためです。

具体例として、呼吸音の減弱がある!と考えた時、さらに患者の背景として例えば発熱や湿性咳嗽があるなどの情報を加えると、「肺炎による呼吸音の減弱がありそう!」と考えることができますね!

呼吸音の減弱、なかなか使い易いのではないでしょうか^^?

呼吸音スコアについてですが、特に9点以下ではCOPDの可能性がかなり高まり、反対に16点以上ではその可能性が低くなると言われています。以下に点数のつけ方を記載しておくので、ぜひ参考に!

呼吸音の得点法(呼吸音スコア)  ( 引用―柴田寿彦・長田芳幸、マクギーの身体診断学改訂第2版より )

なし 0点
ほとんど聞こえない 1点
弱いが確かに聴こえる 2点
正常 3点
正常以上 4点
 ※呼吸音スコア≦9点ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性が高まる。

呼吸音の音調ー「肺胞音気管支呼吸音化」

次は呼吸音の音調です。音調はここでは大まかな低音と高音の2つを意識してもらえたら大丈夫です。その2つが本来聞こえない場所で聞こえると、これは異常呼吸音となります。

つまり本来肺胞音(低音で呼気の方が長い)が聴こえる部位で、気管支音(高音で吸気の方が長い)が聴取されることは、人工呼吸器を装着している状況などでない限り異常と考えます。これを肺胞音が気管支呼吸音に代わっている=「肺胞音気管支呼吸音化」と表現します。

このような状況が生じる原因として、胸水や肺胞の虚脱、分泌物貯留などにより、気管支(音を発する場所)が胸壁(音を聴取する場所)と物理的に接触している距離が近くなるためです。このため、肺胞音気管支呼吸音化を生じている部位があれば、その下方には胸水や肺炎などの異常が存在していることを示すのです。これでアセスメントの材料がまた一つ増えましたね^^b

それでは今回のまとめです。

  1. 呼吸音の減弱では、6か所を聴診してCOPD、胸水、肺炎などの存在を考える!
  2. 呼吸音の音調では、肺胞音気管支呼吸音化から胸水、肺炎などの存在を考える!

以上になります。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございましたー!
たまきち

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